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体温調節と体内水分量の相関関係についての研究

人間の体温調節能力と体内の水分量には密接な関係があります。特に暑熱環境下や運動時には、脱水や水分補給が体温反応に大きく影響することが多くの研究で示されています。今回は、代表的な研究成果をご紹介します。

① 脱水による体温調節機能の低下

高温環境で発汗が進むと、体内の細胞外液(血漿)量が減少し、血漿の浸透圧が上昇します。これにより、体温上昇に対する発汗や皮膚血管の拡張反応が遅れることが確認されています。これは、循環調節反応が優先されるためと考えられています。

参考:自律神経と発汗反応(J-STAGE)

② 水分補給による体温上昇の抑制

大学男子を対象とした研究では、水分補給があった場合、体温の上昇が平均で0.62℃、補給がなかった場合は1.09℃と、補給によって体温上昇が有意に抑えられることがわかりました。発汗量も多く、熱放散が活発に行われていたことが確認されました。

参考:体力科学・水分補給の効果(J-STAGE)

③ 水分摂取温度と量の違いによる影響

飲水の温度を5℃ほどにすると、直腸温の上昇が早期に抑制され、脱水率も低下することがわかっています。冷水は物理的な冷却効果だけでなく、飲水量の増加による熱調節支援にもつながります。

参考:KAKEN研究「飲水温と熱調節」

④ 湿度と皮膚水分量の関係

高温・高湿の環境では、皮膚水分量と発汗量が増加し、「湿潤感」や「不快感」といった心理的影響も大きくなります。皮膚水分量と不快感との相関係数は0.98と極めて高く、体感温度やストレスとの関係も深いことが示されています。

参考:感性工学研究論文より(J-STAGE)

まとめ

  • 脱水状態では、体温調節反応が鈍化する。
  • 水分補給は体温上昇を抑え、発汗を促進する。
  • 冷水の摂取は熱調節負荷を軽減するのに有効。
  • 湿度が高い環境では皮膚表面の水分と不快感が密接に関連。

このように、体内の水分量と体温調節機能は密接に関係しており、特に暑い季節や運動時には「こまめな水分補給」が極めて重要であることが科学的に裏付けられています。

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