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お経で読まれる中国語の発音はいつの時代のもの?

日本の仏教寺院でお経を読むとき、その発音は現代の中国語とは大きく異なります。 では、一体いつの時代の中国語の発音が使われているのでしょうか?

中古漢語がベース

読経で用いられる中国語の発音は、いわゆる「中古漢語(ちゅうこかんご)」に基づいています。 これは主に唐代(7-9世紀ごろ)の発音体系で、現代の北京語(普通話)や広東語とは異なります。

三つの漢字音の系統

日本に伝来した漢字音には大きく分けて以下の3種類があります。それぞれの時代背景や仏教との関係により、読経の場での使用傾向が異なります。

発音種別伝来時期元になった中国語の時代主な使用場面
呉音(ごおん) 5-6世紀 南朝(梁など) 古い仏典や日常語
漢音(かんおん) 7-9世紀 唐代(長安) 読経や学術用語
唐音(とうおん) 12世紀以降 宋-明代 禅宗・一部の専門用語

たとえば「羯諦羯諦」は?

「般若心経」に登場する「羯諦羯諦(ぎゃてい ぎゃてい)」などは、サンスクリット語を唐代風の発音で音写したものです。 そのため、現代中国語での読み方とはまったく異なるのです。

まとめ

読経における発音は、現代中国語ではなく、古代中国語(特に唐代)に由来しています。 これは、仏典が中国経由で日本に伝わった歴史的背景を反映しており、発音にも深い文化的意味が込められているのです。

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