代表的な選挙方式の種類と特徴
選挙制度にはさまざまな方式があり、それぞれに長所・短所があります。この記事では、日本や世界で使われている代表的な選挙方式を紹介し、その特徴をわかりやすく整理します。
1. ドント方式(D'Hondt法)
分類:比例代表制の議席配分方式
- 特徴:政党の得票数を1,2,3…で割って議席を配分。大政党に有利。
- 長所:計算が単純。安定多数を生みやすい。
- 短所:小政党には不利。多様な意見が反映されにくい。
2. サン・ラグ方式(Sainte-Laguë法)
分類:比例代表制の議席配分方式
- 特徴:得票を1,3,5…で割る。小政党にやや有利。
- 長所:中小政党も議席を得やすい。公平性が高い。
- 短所:政権の安定性に課題。複雑な印象。
3. 小選挙区制(FPTP)
分類:単純多数制
- 特徴:最多得票者が当選。アメリカ、イギリスなどで採用。
- 長所:制度が簡単で安定政権を作りやすい。
- 短所:死票が多い。少数意見が届きにくい。
4. 中選挙区制(SNTV)
分類:複数人区・多数代表制
- 特徴:1人1票。得票上位者が当選。かつての日本の制度。
- 長所:無所属や小党にチャンスあり。
- 短所:党内競争が激化しやすい。票の割り振りが難しい。
5. 比例代表制(名簿式)
分類:比例代表制(政党名簿)
- 特徴:政党に投票、得票数に応じて名簿順に当選。
- 長所:民意が反映されやすい。少数意見も届く。
- 短所:政権が不安定になりやすい。候補者と有権者のつながりが弱まる。
6. 小選挙区比例代表並立制(日本の衆議院)
分類:混合制(複合型)
- 特徴:小選挙区と比例代表を併用。2票制。
- 長所:安定性と多様性を両立。
- 短所:制度が複雑。重複立候補で「敗者復活」感あり。
7. 単記移譲式投票(STV)
分類:順位選好式比例代表制
- 特徴:複数候補に順位をつけて投票。余剰票や落選票が次点へ移動。
- 長所:死票が少なく、民意を最大限に反映。
- 短所:制度と開票が複雑。理解と説明に工夫が必要。
比較まとめ表
方式 | 民意反映 | 安定性 | 小政党配慮 | 複雑さ |
---|---|---|---|---|
ドント方式 | 中 | 高 | 低 | 低 |
サン・ラグ方式 | 高 | 中 | 中〜高 | 中 |
小選挙区制 | 低 | 高 | 低 | 低 |
中選挙区制 | 中 | 中 | 中 | 中 |
比例代表制 | 高 | 低 | 高 | 低 |
小選挙区比例並立制 | 中 | 中 | 中 | 中 |
STV | 非常に高 | 中 | 高 | 高 |
各選挙方式にはそれぞれメリットとデメリットがあり、政治の目的や国情によって適した制度が異なります。今後の選挙制度改革を考えるうえでも、これらの特徴を理解しておくことが大切です。
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