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「逆さ帚」の風習とは?魔除け・訪問者除けの不思議な習慣

日本各地には古くからの民間信仰や風習が数多く伝えられています。その中でもちょっと変わったものとして知られているのが、「逆さ帚(さかさほうき)」の風習です。

逆さ帚とは?

「逆さ帚」とは、その名の通り、箒(ほうき)を柄の部分を下にして逆さまに立てるという行為です。現代ではあまり見かけなくなりましたが、かつては日常生活の中で実際に行われていた地域も多くありました。

何のためにするの?

逆さ帚は、以下のような目的で行われていたと言われています。

  • 迷惑な訪問者を早く帰らせる
  • 厄や悪霊を払う(魔除け)
  • 雨を止ませたい時の祈願

特に、「長居する客を早く帰ってもらいたいとき」に、家の裏口や軒下に逆さにした帚を立てておく、という使われ方が有名です。これは、帚の先端(掃く部分)が“払う”という意味に通じ、〈客を払う〉、〈気を払う〉という象徴的な意味を持たせたものでした。

地域ごとの違いとバリエーション

地域によっては、逆さ帚に塩をふりかける、あるいは裏口に立てる誰にも見つからないように立てるなど、やり方に細かい違いがあります。また、帚の代わりに「草履を裏返して置く」といった風習が伝わる地域もあります。

現代における逆さ帚の意味

現代では、こうした風習を実際に行う人は少なくなっていますが、逆さ帚は日本の昔ながらの生活の知恵や、象徴的な意味を込めた行動の一つとして、民俗学や文化研究の分野で注目されています。

「見えない力に敬意を払い、身近な道具を通して祈る」という日本人らしい感性が、逆さ帚の風習には込められているのかもしれません。

おわりに

逆さ帚は一見するとただの迷信のように思えるかもしれません。しかし、暮らしの中で生まれたこうした風習には、現代人が忘れがちな感覚や価値観が詰まっているのではないでしょうか。身の回りの風習を見直してみることで、先人たちの知恵に気づくきっかけになるかもしれません。

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